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  • 執筆者の写真ryohadano

songs self liner notes

更新日:2019年12月31日

全作セルフライナーノーツ計画。第5回目。

2018.2リリース4th album "songs"。

前作me me meの延長線にない歌ものアルバムを作りたくて制作。

前作も歌ものではあったのですが、どちらかというと音響コラージュ的なまとめ方に傾倒していました。で、songsはそうではなく、歌を抜いたら成り立たないものにしたかった、ということです。

こう書くと歌唱力要る感じの音楽に見えますが、別にそうではなく。

ちゃんと歌が機能する作品、ということですね。(説明難しいな)


そして、話が相反するかもしませんが、わかりやすいサビ感が極力無いものにしたかった。どの曲もなんとなく進んで、なんとなく終わる感じ。

つまり、なんとなく流したときにも「いいかも・・」と思えるようなアルバムを目指して。

(結果的にサビ感ある曲もしっかり入ってますが・・)


尚、今作は初めて全国流通しました。

このあたりの話や制作中の話は当時のtumblrに日誌つけてましたのでご興味あれば。

2016年くらいから参照。


発売時、タワレコ渋谷や新宿の試聴機に入ってたと知人から聞き歓喜するも、恥ずかしがって挨拶に行けず。あぁ、哀しい性。次の機会あれば、必ず行こう。いい大人ですので。


流通は偶然の産物 三浦氏主宰のsatie recordsが協力。

印象的なジャケットアートワークは、様々な媒体で活躍する浜松のイラストレーターakira muracco氏。

象をモチーフにすることは初めから決めてて、形、動き、なにか抱えてそうな雰囲気、色味、そういったものが今作のイメージに重なってます。


ちなみに制作時からカセット化を想定しており、CDの後追いでカセットテープ版もリリース。

リマスタリングを施しており、音としてはカセット版の方が当初のイメージに近いです。

ちなみに制作期間2年のうち半分は、モニタースピーカー片チャンネルのツイーターを娘(当時2歳)に容赦無く潰されそのまま1年以上ミキシングしてしまい、結果、音像が独特化。

トレイラー映像は同い年の映像作家フジタエイイチ氏によるもの。

年末にカセットデッキ持って浜松の街中を闊歩して制作。

 

前置き長かったですが、収録の10曲について。


1.あなた 沢山いたあなた、というのは、自分のこと。

残された「あなた」とお友達になりましょう。 ガットギターで歌詞とメロディほぼ一筆書き。 途中の物音は自宅レコードプレーヤーの自動アーム駆動音。うっとり。


2.純粋 みなさんの選ぶ純粋。暮らしの中、辛うじて保たれる純粋。 たまに持ち寄って眺めるくらい、いいじゃない。

この曲のメロディは当作のなかで1,2を争うくらい好き。

3.家をたてる 見知らぬ家の前を通るとき、「自分と同じようにその人達それぞれの暮らしがあるんだな」と、さみしいような、あったかいような気持ちになったりします。 あそこの家族、家を建てるとき、どんな風だったんだろう。 中盤から響く物音は、ベランダ柵に物干しハンガーがぶつかる音。強風の日に録音。

4.無言 言葉の達者さと社会適合性が比例してしまう(ように感じる)時代。

声を大きく。できる限りの正論を。

そんな中で意思を持って無口な人。粛々と。songsの中の高倉健。

me me meタイトルチューンの延長線上にあるような静的な曲。

後半にリズムがスパーク。誰よりも大きく。

5.相槌 目蓋の内側で相槌を打つ曲。 他人のはっとする意見に触れる度、何か考えなきゃ、言わなきゃ、そんな気持ちになる。

でも、いつもそうあることって正しいのかしら。 たまには、相槌だけ打つのもアリ。 曲調は当アルバムの中で最もポップ。songsの中の荒井由美(主にMISSLIM期)。

6.恋人たちがプールから上がらない 子供が出来ると生活リズムが変わり、好きだったことから遠のいて、子供中心の生活になる夫婦。

でも落ち着いて。好きだったことや感受性を諦める必要はないのです。

もう一度、2人で自分たちのプールに。

6.川の流れのように 「昔の時代を想像の中だけで思い出す」をテーマに。

この曲も70's女性アシッドフォークへの憧れが歪にスパークしており、特にBridget st.Johnの影響が見受けられる。(動画内、4:30-とか、もろに)

歌詞は途中、何故か美空ひばりインスパイア。 幼稚園のころテレビで流れた、川の流れのように、好きだったな。

音響はかなり試行錯誤。相当なテイクを録音した記憶あり。 アコギはPC録音後いったんカセットテープに流し込み、再度PCにリターン。

ハードオフで入手した70'sテクニクスカセットデッキ(¥5000)が、独特のコンプ感とピッチのヨレ感を投与。ちなみにこのデッキはトレイラー映像でも登場(うーん、かっこいい)。


歌は最終的にヘッドホンCD-900STをマイクとして使用。MIC INPUTに挿しイヤパッドに向かって歌唱。結果ナローで閉じた感じに。

シンセはおなじくハードオフで入手した古いカシオトーン(¥3000)をマイク録り。理想のヨレ感。ヨレにこだわっているのは、Homeshakeの影響です。断言します。

(10.星になった人でも、ピッチヨレへの執着が見受けられます)

後半のリズムはカシオトーンのスピーカーグリルを爪でカリカリ。昔のプラスチックの乾いた質感の音、好きです。 7.風前の灯火 一時期ライブでよくやっていた曲。 アルバムの中でかなり贔屓に扱っていたため、プレス直前まで実は1曲目にしてた。

贔屓をこじらせ過ぎて1曲目に聴かせたくないということで後半に。 エンディングの高揚感が肝。この感じは昔から手癖的な部分が大きい。me me me収録のcircusアウトロもこの手のもの。 質感はBibioの影響かしら。

9.ふたり 普段から愛聴するWild NothingやHoopsへの傾倒がスパーク。 ベースラインは完全にラルクDNAでしょう。 歌詞内にでてくるカモメは浜松ローカル天浜線に依るもの。

プールから出たふたり、の話。

10.星になった人 人は、脆い薄皮が何枚も重なってできてる生き物なんじゃないでしょうか。

重なってる量は人それぞれ。保てるかどうかも人それぞれ。

普段大丈夫でも、一枚一枚は薄く、ちょっとしたことで破れたりして。

2014年、新宿鉄橋の上で燃えた他人と、遠い街で静かに消えた友人。 どちらも間違いと言い切れない。星になった人。


 

あぁ、全作ライナーノーツ、完走しました。

2019年内に終わってよかった。


今年は様々な方に大変お世話になりました。

とりわけ、場を生み出し、人を巻き込む方々に尊敬の念を抱く一年でした。

気にかけてくださった皆様に感謝申し上げます。

来年もきっとまたどこかで。


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