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執筆者の写真ryohadano

ALGR-002 self liner notes

全作セルフライナーノーツ計画(詳細は前回記事参照)。

2012年8月リリース、2nd ALGR-002。CD-R作。牛盤。

1stと共にいまはbandcampで無料ダウンロードできます。

タイトルが品番風なのは、元々「無題」だったのを区別が付くようにしたため。


ジャケットは1作目に続き事務キチ謹製。右側の四角い金色箔押しはスタンプパッド直押しによるもの。


機材を少し。

環境はCubase artist6, iMac。

このころサンクラづいており、収録曲は出来次第随時soundcloudにアップしてました。

その後、作品としてまとめたのが牛盤。



sone recordsは勿論、JET SET京都のバイヤーさんから連絡が来たり。

徐々に地方のお店とやりとりが出来るようになった時期。

「個人作だって、こうやって色々なレコード屋に置いてもらえるんだ・・・」

と興奮したのを覚えています。

フォークトロニカ、と括られ始めたのは多分この作品がきっかけだったか。

制作中は何かあったかな‥。


転機となったのは、当時付き合っていた人(現カミさん)の影響下で、物事の見方や感性が徐々に変わっていったこと。

嫌いだった素麺やスイカが好きになったり、田んぼが好きになったり。

関係ないようで結構こういうことって音楽に影響してる。


あとは、夜中youtubeを掘る中で知ったVashti BunyanLinda Perhacs。昔の女性アシッドフォークです。未だに良く聴いてて、半分憧れが入ってきてる。


他には、妙に覚えてるのが、1stについて "カフェミュージック" 、と人に評されたこと。

ああダメだ、自分のやりたいことが伝わってない・・と省みたことも当作には影響してる気がします。


では、収録の6曲、思い出せる限りしたためてみます。

 

1.shichigatsu

7月に森町(*1) 紫陽花寺に行ったときに浮かんだ曲。

この頃、夏の草木の緑に感動することを覚え、その感覚に端を発している。


当時、"夜好きなことするために昼間を生きる"、みたいなことに恐れがあって、それが歌詞に出てる。

この感覚は今もそんな変わってない。


歌詞と曲の質感は、このとき初めて理想的なバランスで書けたと思う。様々な知人がいまだにこの歌詞を褒めてくれます。


ストリングスはRachel'sのMusic For Egon Schieleの影響か。

あと、手前味噌ですが、ラストのベース、効いてますよね。

最後はオフマイクで一発録りのテイクに入れ替わって(現実に戻って)終了。

2.37degrees

初期からライヴでよくやっていた曲。リズムを外して外して戻して外して、という感じ。

不自然なものを自然にやるのがテーマ。演奏は慣れないとかなり難しい。

昔myspaceでアップしていたバージョンは36degreesという曲で1度足りなかった。

つくったときは角度や斜面のことをイメージしてた。このまま滑ってく感じで次曲の砂に潜る。


3.suna

2ndの個人的な重要曲。

他人からみたらどうでもいいような、ちょっとしたことに傷ついたり、考えすぎたり。

そうなってしまうことに相槌を打つ曲。「じっとしてたら耳だけになった〜」、という歌詞は、人の話ばかり聞いてたら喋れなくなるということ。半分自分に言い聞かせてる。


曲の質感については当時THE NOVEMBERSがリリースした「小声は此岸に響いて」という曲に感銘を受け、加えて前述のアシッドマザー、Vashti Bunyanの影響の下で作ったと思う。

最後のメロディはYEN TOWN BANDのニュアンス入ってます。恥ずかしげもなく、極めて堂々と・・。1996年に聞いた曲、自分にとっては影響デカい。当時住んでた島を出て転校した時期だったからだと思う。

4.aru bisho

サガンの「ある微笑」という小説のムードに感化されて出来た曲。歌詞なし。

メロディをとても気に入っていて、部屋でよく口ずさんでた。一度だけ歌詞つけて公園のライヴで歌ったことがある。

音源は人気・実力のないJamesBlakeという感じで落ち着く。


5.poy

豚盤製作時に作ってた古い曲。

ちょっとRadioheadぽいメロディ。

いま聴くとコード感はラルクぽい。rayに入ってるthe silver shiningとか。

一度やめたり、離れてしまった事柄をまた始めることは恥ずかしくない。拾い集めていいじゃない、という曲。歌詞そのまま。


オルガンや 心臓の音〜ノイズ発振など、アレンジ凝りつつも楽曲纏まってる感じで、自ら驚く。最後のメロでリバーブ抜いて若干デッドにすることだけは、かなり明確に決めていた。

ベースは夏の猛暑日、umibe嬢(*2)に弾いてもらった。


6.kurinukareta

シンプルなメロディで掛け合う部分が肝。

もろに前述Linda PerhacsのChimacum Rainという楽曲への憧れが垣間見れる。

「一つの心を無くしたら他の心もなくしてしまう」という歌詞について。

当時職場で、できるだけ怒らず・落ち込まずを目指して仕事に行っていたところ、職場の優しい先輩に、「ネガティブな感情を殺し続けると、逆に楽しいときの感受性も落ちて笑えなくなるに〜(遠州弁)」というようなことを言われたのがきっかけ。

いいこと言うなあ。


なお、この曲が出来て以降、dimコード(*3)を頻出させる悪い癖が生じる。Aメロでdimを使うこのやり方はthe brilliant green /angel's song(微シューゲ超名曲)で覚えた。

最後に歌詞がなくなって歌がラララに。じつは言葉が何も見当たらずそのまま録音した部分。

ガラス瓶の蓋を最後に閉めて牛盤これにて終了。


 

正直、牛盤、結構気に入ってます。

曲とアレンジが屈強に思える。

これはどうしても当時のムードや感性がもたらしたものだと感じる。

今の自分に思いつかないこともいっぱいあるし。


もっと、今も素直に、好きなように曲を作りたいと感じた1作。

・・・?

だんだん、手前味噌感強くなってませんか、セルフライナーノーツ。

自意識が肥大していきますね。

あと3作書いて、年末までに自意識でパツンパツンになろうと思います。



(備考)

森町(*1):遠州の小京都。

umibe嬢(*2):カミさん。

dimコード(*3):ディミニッシュ。楽曲の響きを手軽にねじれる。中尾彬でいうところのマフラー的役割。

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